君が残してくれたもの
学校ではない場所で見る久保川くんは、久保川くんという存在を一気にリアルなものにさせた。


思っていたより大きくて、豪快で、低い声で、私や樹里や母とも違う生き物なのだと再認識した。


気づけば久保川くんのことばかり。

彼氏もいたことない私なもんだから、家に男の子が来たってだけで、こんなに動揺しまくってる。


そんな自分の心に話しかける。

「あーそれより、机探して…ピアスに茶髪の色白男子も、探さなきゃ」


煩悩を断ち切るかのように、私は自分に言い聞かせた。


あの画像は、本当に私たちなのかな。

記憶にはないのに…こんなことあり得ない。


「シロップ…」

机を探すのと同じことだ。

シロップがあれば…


私はシロップはいちごしか使わないし、樹里はみぞれが好きだから…

あったとしてもいちごとみぞれだけ。

< 27 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop