君が残してくれたもの
「ねえねえ。私、夏休み中かき氷…食べてた?」


娘を呆れた顔で見る母に、真剣な顔でとんちんかんな質問を真剣な表情でしている私。


母はしばらく考えてるのか呆れてるのか、黙っていたけれど。


何かを思い出した、というような表情になって、私は少し期待する。


「どういう質問?夏休み?かき氷食べてたんじゃないの?ゴミ袋にすごい種類のかき氷シロップの瓶が入ってたの、捨てたわよ。ママがぁ。重かったんだから」


さらっと言ったけど。今、この人重要なこと言った…

思わず前のめりで質問する。

「すごい種類って?」


シロップに食いつく娘を呆れた顔で見ながら、


「だから…メロン、レモン。ハワイアンブルー、マンゴー?グレープもあったわね」

腕を組んで目を閉じて記憶を辿っている。


ただ、私の記憶にはない…


「そんなに?」

予想を超える種類に驚くと、母はふくれっ面で、

「そうよ、重かったんだから。しかも、なずな夏休み中お友達とかき氷にハマってるとか言って毎日のように食べてたじゃない。そのせいか、かき氷器壊れちゃって…」

そう言いながら風呂へ向かって歩いて行く母をぼんやり見ていた。
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