君が残してくれたもの
母の証言からすると、かき氷をうちで食べていたというのは、どうやら現実らしい。


LINEを交換した久保川くんに、とにかく早く伝えたい。


こんな重要な証言。
誰かに言わなきゃ、パンクしそう。


私は、急いで文字を打つ。


『こんばんは。どうやら…うちでかき氷したのは事実でした』

伝えたいことをまとめるとこんな風になってしまった。

サッパリし過ぎたのかな…
伝わるかなぁ。

送った後で不安になる。


ソワソワしながら、ベッドに横たわってみたけど、落ち着かない…

座って、立ち上がり、窓を覗いて…

特に意味のない行動を繰り返す。


待つから、ダメなんだよね。
待たない、気にしない。

待たない…

とか、気にしてる時点で待ってんだよ!私は…


頭を抱えていると、スマホの音が鳴った。


『今日はありがとう。肉めっちゃうまかった。ところで、それマジで?じゃあ、やっぱり画像は本物ってことになるな…』

ちゃんと、伝わってる。
ホッとして、もう一度読み返しながら、そうなの、そうなんだよ。と、頷く。

なのに、どうして…
記憶がないんだろう…



『ってことは、僕らが忘れちゃってるってことだよね。やばいな、謎過ぎる』

謎の一言に限る。

写真ではすごく楽しそうな私の顔。

緊張感もなくて、本当に素で楽しそうだった。

あんなに、笑うっけ?私…
最近、あんな大きな口開けて笑ったことなんて、あんまりないなぁ。

でも、大体…久保川くんとそんなにいつ仲良くなったんだろう。
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