君が残してくれたもの
机の落書き
「ねえ、聞いてんの?なずな今日は一段とぼんやりしてるわよ」

樹里が眉間にしわを寄せて私を見ていた。


「え?なんだっけ?」


「だから、体育祭だよ。何出る?って話。5時間目、それ決めるでしょ?」

体育祭...


「私は、玉入れに…」


「うん、ないよね」


「じゃあ、綱引きに」


「それは全員参加ね」


体育祭は、一人ひとつは個人競技に参加となっている。

誰が決めたか、このシステム。


「じゃあ、パン食い競争に」

遠い目をしている樹里に、思いっきりため息をつかれてしまった。


「パン食い競争のパンに届くの?あんた」


身長153㎝の私は1年の時にもパン食い競争を選び、ぶら下がっているパンに届かず、いつまでもグラウンドから立ち去れないという悲劇を引き起こしてしまったのだ。


「伸びたかもしれない」

「うん、伸びてない」


食い気味に、樹里はにっこり笑って言い放った。
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