君が残してくれたもの
机は確かにあったはずなのに。

不自然なスペースに誰も気に留める様子もなく日常が過ぎていこうとしていた。

気のせいなのか、このバカげているような暑さ残る残暑のせいで私の頭はついにおかしくなったのか...

「はあ」

本日25回目のため息をついたところで英語の授業が終わり、みんな鞄に荷物を詰め込み帰り支度を始める。


部活とか、デートとか...放課後に予定のない私は、バスケ部の樹里に、

「ぼさっとしてんじゃないわよ、帰り道気をつけなよね」

背中をバンと叩かれて一人教室に取り残された。


私は樹里とは違う中学校でバスケ部だった。

バスケを続けようとはしなかった。

だって、バスケット選手になる予定もないし。

受験に必要ないし。

いつかはやめるときが来るなら、別に今やめたっていいわけで...


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