君が残してくれたもの
「え?何?あれ…ショック」


「ちょっと、どういうこと?」


ざわつくみんなの視線に、謝って回りたいぐらいな気持ちで海晴くんの背中で小さくなっていた。


しかし、海晴くんは何にも気にしてない様子。

こそこそもぜず、今日も自然体。

まるで私が乗っていないかのような、立ち振る舞い。


そんな中、

「なずなちゃんちっさいね」

背中越しに海晴くんの声が聞こえる。


「え…?」


パッと体を離した。

まさか、胸?
そ、そりゃ巨乳にはほど遠いけど。

そんなダイレクトに伝えなくても…

変な汗が出そうな私に、


「身長何センチだっけ?」


あ、そっちね。

焦った…


「153㎝だけど…海晴くんはいつもこんな風に見えてるんだね。見晴らしいいな」


海晴くんの背中、肩、大きくてまたドキドキしてしまう。
私の下心、収まれ収まれ…


「保健室着いたよ」

自分の煩悩と戦っているうちに到着していた。


「ありがとう」

ゆっくり、大切なものを扱うようにおろしてくれた。


保健の先生が、


「あら、どうしたの?」


と駆けてきた。


「じゃあ、よろしくお願いします」

そう言って、海晴くんが保健室から出て行った。

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