風は戦い、恋をする
背中が……熱いーーーー
翠はその場に倒れこむ
「あーーもーー
てか、間違えて、反射的に切っちゃったよ!!! もう少し遊ぶ予定だったのにっ
まいっか!そろそろおしまいだね♪
じゃあ、また来世であおっっっ!! 」
もう一度蓮の花が振り下ろされた
ーーーーもう終わりだっ
そう思った時
「そこまでじゃっ!!」
赤髪の男神(おとこかみ)が間に入ったーーーーー
アミダがニヤリと笑う
「やあ、エンマっ♪
少し遅かったじゃない?? 風神の里はこの通り!
神殺しの大戦争の話、本気だって信じてくれた??
……
エンマ遊ぼうよっ!」
腰まである赤い髪をたなびかせ
翠の前に現れた彼は、地獄のエンマであった。
エンマは笏(しゃく)を構える
「焦熱地獄(しょうねつじごく)!」
唱えたとたん、
地獄の炎がアミダを包み空高く舞い上がる
物凄い広範囲の火柱に揺れる
その後ろ姿は壮観であったーーーーーーーー
倒れ込んでいた翠も思わず、
「すごいっーーーーっっ」
痛みも忘れて、ただ見惚れていた
「もう大丈夫じゃ、遅くなってすまんかった……
わしはエンマじゃ 」
彼は綺麗な赤い瞳を申し訳なさそうに歪めていた。
「牛頭(ごず)!!!馬頭(めず)!!!!
風神の手当てを!!」
文字通り牛と馬の頭をした強面の獄卒が現れた
「ははっ!!」
なにやら緑色の勾玉(まがたま)を傷口に当てるとみるみる傷は治っていく……
「ありがと ……ございます……」
と翠が言うと
「いいでやんすっ」 「今は安静にするであんすっ」
ズイっと牛と馬の顔が覗きこむ
ーーーなんかこいつら面白い
「 ……あはははははっはーーー!!!!!
僕は如来様だよ~?こんな人間を裁く炎じゃ死なないよ~~~ 」
炎の中から声がする
「お前たちはさがっておれ! あいつはわしが相手をする!」
再びエンマは武器である笏を構える
エンマとアミダはしばらく睨み合う
すると……
アミダはスッと構えをといた
「や~~めたっ♪
ここでエンマを殺っちゃうのはつまんないじゃないもんね~
また、お互い戦力を整えて大々的にやろう!!
1000年後に開戦だっ!!!!!!!
これより、風神の里を境に、極楽側を僕の軍、地獄側がエンマの軍ね!!!
ちょうど半分でしょ??
1000年後が楽しみだね♪
今から待ちきれないよっ
あ、1000年の期日破らないでね♪ 破ったらゆるさないよ 」
黒い障気がアミダを包み込み
そう言い残してアミダは消えていったーーーーー