イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
直倫の会社に行って、彼に憧れる女子社員の存在を知った遠子は、ちゃんと考えると言いながらも、まだ一歩も踏み出せていない、自分の状況を改めて見つめなおし、そして決断した。
その日の夜、いつものようにふたりでベッドに入ってから、後から慣れた手つきで抱きしめてくる直倫に、遠子は午後からずっと考えていたことを口にする。
「ねぇ、直倫。私、アルバイトやってみる」
「ああ」
「来週からお願いしようと思うんだ」
「うん……」
直倫の声が、ぴったりと寄せた体から響いてくる。
彼の返事から、遠子がいずれそういうことは、わかっていたような雰囲気が伝わってくる。
だが、遠子の本題はこれからだ。
「あとね……」
(言うんだ……遠子!)
けれど意識すると、遠子の心臓がバクバクと跳ね始める。
(断られたらどうしよう……いや、そんなこと考えたって仕方ないし!)
どう思われるかはわからないが、勇気を振り絞って口を開く。