イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「あー、あのさっ、今度のお休み、デートしないっ?」
「――うん……はっ!?」
その瞬間、それまで遠子を抱きしめていた直倫が、驚いたように跳ねて、上半身を起こした。
「デートって……お前、それ本気で言ってる?」
「あっ……あったり前でしょっ……! こんなこと冗談で言えるわけないじゃん……っ」
どこか怪訝そうに言われて、遠子はムッとして肩越しに振り返った。
この同居生活を始めるときに、前向きに考えると言ったのは自分だ。
だが、けれどなにをどうしたら前向きに考えることになるのかわからずに、気が付けば今日まで来ていたのだ。
けれどようやく自分なりに考えがまとまった。
(買い出しとか散歩とかそんなんじゃなくて、デートをする。デートをして、想像してみる。これから先も、直倫と一緒にいる自分を……)
なのに冗談と思われては、せっかくの勇気がつぶれてぺしゃんこになってしまう。
悔しいのと、悲しいのと、ごちゃ混ぜになって、遠子は直倫をにらみつけたのだが――。
「――っ、っ、やったっ!」
その瞬間、直倫が上から遠子を押しつぶすように抱きついてきた。