イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「ひゃっ!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、遠子はじたばたと体をよじる。
その力は強く、息が止まりそうになる。
「ちょっ、ちょっと直倫、重いって~っ!」
「うるさい、俺が普段どれだけ理性総動員して、我慢してやってるのか少しは思い知れ」
「なっ、なにをなの~!」
理性を総動員するのと、抱きつぶされそうになりながら思い知らされるのと、いったいどういう関連があるのだ。わけがわからない。
(……でも……なんとなく、喜んでくれてる?)
直倫はどんな顔をしているんだろう。
顔を見たいが、よくわからない。
けれど今は、このままでいいような気がした。
顔を見てしまったら、一気になにかが変わってしまうような気がした。
――・・・