イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「今日は――遊園地に行きます」
「ゆうえんち」
「ちょっと、真顔にならないでよ!」
日曜日の早朝、いつもより早めに起き、真面目な顔をしてデートプランを発表した遠子に、直倫はコーヒーを飲みながら肩をすくめた。
「そんなまじめな顔でいうことかと思ってな」
確かに直倫のいうことももっともかもしれない。
おたがいアラサーの男女である。
だが遠子は真剣だった.
「だって、私、知ってると思うけど、デートなんて一度もしたことないの」
「ああ、そうだな」
「デートっていえばやっぱり遊園地だと思う」
「そうか」
「もうっ、バカにしてるでしょ!」
「してないよ」
直倫はクスッと笑って、それから妙にまじめな顔で遠子を見つめ、優しく微笑んだ。
「デート、楽しみだな」
「うっ、うん……」
その笑顔に、不覚にも胸がきゅんとなったのは遠子だけの秘密だ。