イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「入るか」
「うん」


そして今日、いよいよデートの始まりなのだ。


(どうなるかはわからないけど……)


遠子は緊張した面持ちで直倫からチケットを受け取る。

じっと眺めていると、右手をつかまれた。


「なに?」


驚いて顔をあげると、直倫がさも当然という風に目を細めて指をからめる。

いわゆる恋人つなぎというやつだ。


(テレビで見たことある……)


つい、そんなことを考えてしまった。


「これ、デートだろ」
「あ、そうか……デートだもんね……うん。だから手を繋ぐんだね」


毎晩一緒に眠って、あれだけキスもしておいて、今さら手を繋ぐのが恥ずかしいなんて、順番がめちゃくちゃだとは思うが、恥ずかしいものは恥ずかしい。

歩き出したはいいが、ついうつむいてしまう。

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