イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
それから十分ほどして、いよいよ遠子の出番が来た。
「じゃあ、行ってくるね」
「頑張って、おねーさん! 俺も頑張る!」
次の順番として、反対側の足場に向かうタンバに手を振り、それから遊園地の係員に、安全ベルトを装着させられる。
ガチャンと大きな音がして、もう後戻りできない空気に、急に緊張が増す。
「いや~怖いー!」
さすがにスリルで胸がドキドキし始めた。
「はい、足を交互に前に出しましょー! みぎ、ひだり、みぎ、ひだりっ!」
陽気な係員のお兄さんに誘導されて、遠子は一歩一歩前へと歩を進める。
「足の先を少しだけ、出してくださいね~!? 用意ができたら、そのまま前に倒れますよ~!」
「はっ、はいっ……」
遠子はぎゅーっとこぶしを握り、それから直倫の姿を探す。
(さすがに見えないか……)
「はいっ、バンジー!」
「はいっ!」
勇気を出して前に倒れると、浮遊感で体がふわりと浮いて。
落ちて、ぐいーんと体が持ち上がって、また落ちる。
「きゃああああああああああーーーー!!!!」
遠子の絶叫が青空にこだましたのだった.