イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「直倫!」


安全ベルトを外してもらい、遠子は遠巻きに眺めていた直倫に駆け寄った。


「面白かったー!」
「そうか、よかったな」


直倫はあっさりと答えつつも、はしゃいだ様子の遠子を見て目を細める。


「動画は撮ってくれた?」
「――忘れた」
「ええっ!」


あれほど動画を撮ってくれと頼んだのに、まさかの失態である。


「なんでよ、頼んだのに」
「悪い。急に電話がかかってきて」
「そっか……じゃあしょうがないけど」


(パパとママに見せたかったのにな……)


遠子は唇を尖らせながら、直倫に持っていてもらったバッグを受け取る。


「眼鏡かけろ」


直倫は遠子の問いに返事をしないまま、無理やり持っていた眼鏡をかけさせようとした。


「ちょっ、ちょっと待ってよ、もうっ……」


なんだか一方的で、少し乱暴だ。


< 132 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop