イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「直倫!」
安全ベルトを外してもらい、遠子は遠巻きに眺めていた直倫に駆け寄った。
「面白かったー!」
「そうか、よかったな」
直倫はあっさりと答えつつも、はしゃいだ様子の遠子を見て目を細める。
「動画は撮ってくれた?」
「――忘れた」
「ええっ!」
あれほど動画を撮ってくれと頼んだのに、まさかの失態である。
「なんでよ、頼んだのに」
「悪い。急に電話がかかってきて」
「そっか……じゃあしょうがないけど」
(パパとママに見せたかったのにな……)
遠子は唇を尖らせながら、直倫に持っていてもらったバッグを受け取る。
「眼鏡かけろ」
直倫は遠子の問いに返事をしないまま、無理やり持っていた眼鏡をかけさせようとした。
「ちょっ、ちょっと待ってよ、もうっ……」
なんだか一方的で、少し乱暴だ。