イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
まぁ、いつものことと言えばいつものことかもしれないが、少しなにか違うような気がする。
(お腹空いて不機嫌なのかな? まぁ、待たせちゃったしね)
遠子はあまり気にせず、直倫をみあげた。
「どっかでお昼にしよっか。なにか食べたいものって――」
「おねえさーん!」
振り返ると、遠子のあとにジャンプをしたタンバが手を振っていた。
友人らしい男子にもまれてもみくちゃになっている。
「ありがとーっ! 今度こそリサちゃんに告るーっ!」
「アハハ! 頑張って!」
遠子は笑いながら、手を振り返したのだが――。
「いくぞ」
直倫は遠子の手をグッとつかむと、そのまま引っ張るようにして歩き始める。
「えっ? ちょっと、ちょっとーっ!」
まだ足元がしっかりしていないまま、遠子は引きずられながらその場を後にした。