イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
(え……?)
その瞬間、頭から雷を落とされたような気がした。
思わず遠子はその場から逃げるようにして回れ右をする。
(今、私のこと、言ってた……?)
心臓がありえないような速度でドキドキし始める。頭が真っ白になって、急に息がうまく吸えなくなった。
(ただの幼馴染……って、私のことだよね……。私以外に幼馴染がいるなんて聞いたことないし……巻き込むなって、どういうこと? 直倫、いったい誰と話してたの……?)
ベンチにぼーっと座って考える。
(俺とあなたのふたりの問題って言ってた……私には関係ない、誰かとの……)
関係ないというあたり、本当は関係があるのだ。
関係があるから、ないと言い張っている。
もしかして動画を撮れずに電話していたというのも、同じ相手なのだろうか。
背筋がぞくっと冷えた。
まるで直倫が誰かに、自分との関係を必死に、否定しているような気がしたのだ。
(い、いや、やめよう! たったあれっぽっちのことで、変なこと考えるのはよくない!)
それに今日はせっかくのデートなのだ。
変な妄想に取りつかれて嫌な気分になりたくない。