イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
遠子は必死に自分を立て直そうと意識を巡らせる。
(っていうか、自分だって似たようなことはさんざん言っていたはずなのに……勝手だよね、私……)
ただの幼馴染だとか、嫌いだとか結婚なんて無理だとか、平気で言っていたはずなのに。
今はもうできることなら、そんなことを言いたくないと思っている。
(私……直倫のこと……)
「トーコ?」
「あっ」
顔を上げると、直倫が戻ってきていた。
電話は終わったらしい。
変にどういった電話なのか突っ込むとボロが出そうな気がしたので、最初から聞かないことにした。
遠子はいつものように、怒った顔で直倫を見上げる。
「もう、アイスとけちゃうじゃん」
「悪い悪い」
ベンチの隣にひょいと座って、直倫は遠子の手をつかみそのまま引き寄せソフトクリームをぺろりとなめる。
「あっ、そっちは私のチョコレート! 直倫のはこっちのバニラだってば!」
慌てて反対側の手を差し出すと、直倫は、
「手が汚れるからお前が持ってろよ」
と、めちゃくちゃなことを言い出した。