イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
そんな狭い観覧車の中で不自由そうにキスをされて、遠子は驚いて息をのんだが、直倫はいたって冷静で、唇を離しながら低い声でささやいた。
「最後は観覧車って、俺とこういうこと、したかったんじゃないの?」
落ちていく夕日が直倫の端整な横顔を照らす。
信じられないくらいきれいで、美しくて――。
相変わらずの上から目線ではあったけれど、直倫の甘い意地悪な問いかけは、遠子の心をときめかせるには十分な威力を持っていた。
「今のは――驚いたけど」
遠子は目をまん丸にしたまま、直倫を見上げる。
「けど?」
「したかった、かも……私……直倫のこと、好き……かも……」
自分で言っておいて、驚いた。
(そっか……私、直倫のこと、いつの間にか好きなってしまったんだ)
子供の頃意地悪を言われたせいで、トラウマになって。
ひどく傷ついて、それから直倫のことが苦手になった。
けれど直倫といつも一緒に過ごすようになってから、その“嫌い”がどんどん新しい感情に上塗りされていった。