イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「明日どっと疲れが来そうだけど……」
体力が落ちたと痛感したばかりのくせして、はしゃぎすぎたとわかっている遠子は、ふわっとあくびをしながら、そうつぶやく。
身じろぎすると、遠子を抱きしめる直倫の腕に少しだけ力がこもった。
(直倫あったかいなぁ……)
考えてみれば、こうやって抱き合って眠るのにも、そろそろ慣れてきたように思う。
(慣れるっていうのも変だけど……これが自然なことだって受け入れられてる感じなんだよね……枕みたいな……あって当然というか)
直倫にしても、抱き枕気分なのではないのだろうか。
(いや、待て、そういえば……)
「――なに考えてるんだ」
あくびをしているくせに、なかなか眠らない気配を感じ取ったのか、直倫の声が首元で響く。
「あ……うん。直倫って子供の頃ぬいぐるみ抱っこして寝てたよね。急に思い出して」
「なっ……」
直倫が不意打ちを食らったような、動揺する気配がした。
(……まさかあれは、直倫の黒歴史だった?)
いつもやりこめられてばかりの遠子は、急に胸がワクワクしだす。
これはある意味逆転のチャンスだ。