イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「なっ、直倫? 怒ったの? ごめん……」
いきなりのことに遠子は目を丸くする。
「別に怒ってない」
直倫はいつものそっけない口調で、首を振ると、そのまま押し倒した遠子をじっと、熱っぽい瞳で見つめた。
「ただ、時々、思い知らせたくなるだけだ」
「……なにを?」
そこを突っ込んではいけないような気がしたが、遠子は反射的に思わず問いかけてしまっていた。
「俺が男だってこと」
男、という単語に、心が跳ねる。
「そんなの、知ってるよ……」
遠子はドキドキしながら、直倫を見返した。
一日中外に出て体は疲れているはずなのに、観覧車でのキスを思い出すと、ドキドキして、胸が苦しくなって、どうにも眠れないのだから。
直倫はただの幼馴染じゃない。
遠子にとって異性であり、男だった。
「いいや、わかってない。今日だって……」
「今日?」
遠子はきょとんと丸くする。
「なにかあった?」
「知らない男と、なんか楽しそうだっただろ」
「――えっ!」
その言葉でようやく気が付いた。