イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「あの、大学生の子?」
楽しそうだったもなにも、たまたま後ろにいただけの年下の男の子と、くだらない雑談をしただけだ。
しかも二度と会うことはない。
「――直倫?」
以前、まさか嫉妬してるのなんてからかったけれど、今日は言えない。
からかうどころじゃない。心臓がドキドキして胸が苦しい。
苦しいのに、直倫から目が離せない。
この先なにが待ち受けているのだろうと、期待してしまって、体ごとふわふわと浮かんでいきそうになる。
「トーコ」
そっと顔が近づく。
「俺は、お前のことをうんと可愛がってやりたいと思ってる、ひとりの男だよ……」
目を閉じると同時に、唇が触れた。
「んっ……」
口づけながら、直倫の手が遠子の胸に触れる。
淡くしびれるような感覚が全身に広がる。
「――トーコ……」
ほんの少しかすれた声が首筋に触れる。
「俺のこと好きかもなんて言ったらどうなるか、少しくらい、思い知ればいい……」
――・・・