イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
蜜月と嘘と恋のゆくえ

それから――遠子と直倫との生活が新しく始まった。

ただの幼馴染ではなく、同居でもなく、お試しでもない、恋人同士の暮らしだ。

ちなみに遠子は遊園地デートの数日後から、あの移動販売のデリで週三日のアルバイトも始めている。

直倫はあまり無理にしないようにと言ってくれたが、久しぶりの労働は遠子にとってかなり新鮮だった。


(やっぱり働くっていいなぁ……)


もちろん楽しいことばかりではなく、中にはセクハラ発言をしたり、無茶ぶりをしてくるようなお客様もいないわけではないが、労働して他者とふれあい、なにかしらの成果を上げる行為は純粋に遠子の性に合った。
そして金木は親切にも、恋人と同棲しているという遠子の話を聞いて、空いた時間にレシピを教えてくれた。


「このサーモンのマリネ、作り方教えてもらって私が作ったの」
「ふぅん……結構うまい」
「でしょ。へへ……明日の朝はバケットに乗せて食べようね」


夕食で、直倫に食べさせる手料理の数もじわじわと増えていた。

食卓も豪華になるし、なにより手作りの料理を食べてもらえるのは達成感がある。

ふたりの夕食の時間、遠子は箸をすすめる直倫の顔を眺めながら、幸せな気分でいっぱいになっていた。


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