イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「直倫……いまの――」


遠子が口を開きかけた瞬間――。

帰宅してから置きっぱなしにしていた直倫のスマホが、リビングのテーブルの上で鳴り始めた。

直倫は箸を置き、無言で立ち上がってスマホを手に取る。

呼び出し音は消えた。
おそらく留守番電話に切り替えたのだろう。


「――でなくていいの?」
「ああ。あとでかけなおす。今はメシの時間だしな」


直倫はスマホをソファーの上に置きっぱなしにしていたバッグの中に放りこむと、テーブルに戻ってきて、何事もなかったかのようにワイングラスを持ち、優雅に唇をつける。


(電話……仕事かな……それとも友達?)


正直言って、遊園地の一件から、直倫にかかってくる電話すべてが気になっている。

気にしないようにしようと決意しても、頭のどこかで引っ掛かっている。
けれど直倫の普段の行いになにか不審なところがあるわけではない。

だから今、ふんわりした疑問だけで直倫を追及するのは間違っていると思う。


(結局私、自分に自信がないから、こんなこと考えちゃってるのよね……不安だから、どこかにほころびがあるんじゃないかって、ビクビクして……その傷を自分で確かめて、大丈夫だって思いたがっているというか……)


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