イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
そして毎日、何気ない穏やかな日々が過ぎていく。
気が付けばようやく、ふたりで住み始めてひと月が経とうとしていた。
遠子は洗濯ものを取り込んだ後、シャワーを浴びて身支度を整える。
「夏がきたって感じだなぁ……」
日焼け止めを塗り、帽子をかぶって外にでると、日差しの強さに思わず顔をしかめるほどだ。
遠子は水路沿いに並ぶ木々の日陰を通りながら、駅へと向かっていた。
今日、アルバイトは休みだ。
実は先日、アルバイト代が遠子の口座に振り込まれたのだ。遠子は、そのお金で直倫になにかプレゼントをしようと考えていた。
日々の生活費はすべて直倫が持っている。
遠子にも六年間分の使う暇がなかったそれなりの額の貯金があるので、半分負担すると言ったのだが、直倫は首を横に振った。
それは男として、自分の役目だと譲らない。
(気持はありがたいけど、お世話になりっぱなしっていうのも気が引けるんだよね……)
だから直倫への日々の感謝のプレゼントを選ぶつもりだった。
(そんな高いものは買えないけど……普段から使うもの……キーケースとか……?)
あれこれと脳内で考えながら、電車に乗り、銀座の百貨店やマーケットを回ることにした。