イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「うーん……悩む」
いくつかの百貨店の紳士用品売り場で、ネクタイやカフス、キーケース、細々とした雑貨を見てみたが、どれもピンとこない。
そもそも直倫が持っていないものなどないわけで、なにをプレゼントしたら喜んでもらえるかもはっきりわからない。
(何が欲しいか聞くべきだったかな……)
でも、遠子だって、直倫をびっくりさせたいのだ。
純粋に彼の喜ぶ顔が見たかった。
(シロちゃんにさぐりをいれてみるかなぁ……)
そんなことを考えながら、遠子は紳士用品売り場を離れ、エレベーター脇のソファースーペースに行き、腰を下ろした。
バッグからスマホを取り出してメッセージアプリを立ち上げる。
【シロちゃん、シロちゃん。直倫が欲しいものとか知らない?】
するといつものように、すぐに返事が返ってきた。
【それはもちろん遠子でしょ】
「なっ……」
不意打ちのような返事に、遠子の頬がカッと熱くなる。