イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
(甘いっ……甘いよ、シロちゃん!)
遠子は片手でパタパタと顔をあおぎながら、返事を返す。
【そういう冷やかしはいいです。アルバイト代が入ったから、直倫になにか贈り物をしたいの。でも直倫はなんでも持ってるから、シロちゃんなにか知らないかと思って】
【だったら余計、俺が選んでも仕方ないでしょ。遠子が選んだものならそれでいいんだよ】
【そうなの?】
【そうだよ。気持ちが大事】
【そっか……そうだね。ありがとう】
返事代わりらしい、猫がウインクするスタンプが送られてきた。
(シロちゃんらしいな……)
遠子はクスッと笑い、そしてスマホをバッグにしまって、ソファーの背もたれにもたれかかった。
(気持ちが大事、かぁ……)
たしかにそうだろう。
自分が逆の立場だったら、直倫に選んでもらえたものなら何でも嬉しいはずだ。
やはりここは素直に直倫になにが欲しいか聞いてみるべきか。
遠子はそんなことを思いながら、ぼーっと天井を見上げる。