イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「元気になったら、今度は植物園にでも行かないか」
「植物園?」
「俺今、デザインの勉強もしててさ」
「そうなの? 知らなかった……」
「イタリアでは靴づくり以外にも、デザインの勉強をしたんだ。花とか草木のモチーフをうまく使ったなにかができないかってさ」
そして直倫は、遠子の額ににじむ汗をタオルでそっとふく。
「それで作ってるものもあって――もうすぐ……」
うとうとする遠子に語り掛けるように、直倫は言葉をつむぐ。
(直倫……こんなに優しい直倫が、裏切ってるはずがない)
「本当は、もっと早くさ……」
(直倫は私のことをちゃんと好きでいてくれる……だから、気にしない……)
「トーコ……」
(直倫は私だけ……)
――・・・