イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

翌朝、熱はすっかり下がって微熱程度に落ち着いていた。

実家に帰るほどのこともない。一日安静にしていれば、明日からは元気になるだろう。


「今日は仕事早めに切り上げて定時で帰ることにする」
「もう大丈夫だよ……なんだか騒いでごめんなさい」


遠子はしょぼしょぼしながら直倫と一緒に起きて、ダイニングテーブルでヨーグルトの朝食をとった。


「本当に?」


まだどこか不安そうな直倫は、コーヒーを飲みながら、もう一方の手で遠子に手を伸ばし、頬に触れる。

スリスリと撫でられて、くすぐったい。


「大丈夫でしょ……?」


遠子が首をかしげると、直倫がホッとしたように目を細めた。


「そうだな。よかった。でもやっぱり今日は早めに帰るから」


その一言は優しさに満ち溢れている。


(なんでこんなに優しいんだろう……)


直倫が優しければ優しいほど、遠子はなぜかいたたまれない気分になった。


そもそも、直倫は自分のどこが好きなのだろうか。
自分と結婚して、直倫は本当に幸せになるのだろうか?


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