イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
――そんな決意を新たにしたのもつかの間。
夕方、遠子のスマホに直倫からメッセージが届いた。
【悪い、早く帰るって言ったのに遅くなりそう】
「ええーっ……」
まさかの展開に、また遠子はがっくりとソファーに倒れこんだ。
せっかくの決意がいきなり無駄になりそうになる。
だが遅いと言っても、午前様になるわけではないだろう。
【起きて待ってる】
と返事をすると、
【薬飲んで先に寝てろ】
とさらに出鼻をくじかれてしまった。
【起きてる】
【病み上がりのくせして無理するなバカ】
「バカって!」
【無理して起きてるとまた体調崩すぞ。アルバイトもいけなくなる。いいのか?】
「うう……」
直倫の言うことは至極当然で、他人に迷惑をかけることを嫌う遠子に効果は抜群だった。
【よくないです】
【だろ? マジで遅くなりそうだから、頼むから寝ててくれ】
結局直倫に言いくるめられるような形で、遠子はしぶしぶベッドに移動する。