イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

(いやいや、そうは言っても、今晩が駄目になっただけだから……明日でも、明後日でも、いいわけだしね!)


けれど薬がよく効いて、すっかり熟睡してしまった遠子が翌朝、直倫に告げられたのは

「悪い。今日から一週間、イタリア出張になった」

という、衝撃の一言で――。


「えっ、えええーっ!?」


遠子は朝から絶叫してしまった。


「ほんと悪い……」


直倫はキャリーケースに荷物を詰めながら、ため息をつく。


「現地の工場でちょっと問題が起こったみたいでな……」
「そっ……そうなんだ……」


遠子も荷造りを手伝いながら、うなずくしかない。


「――その、ちなみに、その出張ってひとりで行くの……?」


もしかしたらあの松野さんと一緒に行くのではと不安になったのだ。


「ああ。俺がこないだまで指揮をとっていた工場だし、俺ひとりでなんとかなる」


遠子の問いに直倫はあっさりと答え、さらにふと思いついたように口を開いた。

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