イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「お前が元気だったら連れて行くんだがな」
「えっ?」
「向こうには世話になった人もたくさんいるし……紹介しておきたかった」
「あっ、そうなんだ……うん」
しどろもどろにうなずいたが、直倫のその一言に、遠子の心はふっと軽くなった。
(私って単純だな……婚約者っぽい扱いされて、すごく嬉しくなってるし……)
「――ねぇ、直倫」
「ん?」
「私、ちゃんと言ってなかったけど、直倫のこと好きだよ」
「な……え?」
それまでせっせと荷物を詰めていたはずの直倫が手を止めた。
顔を上げる気配がしたので、遠子は照れてしまい、そのままうつむく。
「ほら、遊園地の時、好きかも~とか言っちゃって、ちょっと誤魔化してたから……ごめん」
今さら改まって好きというのも照れるが、言っておかなければ後悔する気がしたのだ。
それにこのところ、あれこれ勝手に考えて、とても大事なことを忘れていた気がする。
「私、直倫が好き……結婚なんて無理だって思ってたけど、今は違う……できたらこれからもずっと、直倫と一緒にいられたらって思ってる」
そう、ただ単純に、直倫を好きだと思う、自分の気持ちだ。