イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「俺が作ったんだ」
「――ええっ!?」
「言ったろ、デザインの勉強してるって。カノーロから別会社作って、いずれアクセサリーのほうもやろうかって話になってて……それでこれは試作品第一号」
そして直倫は、遠子の首の後ろに手を回し、それを器用につける。
遠子の胸の真ん中で、小さな花がほころんでいるようにも見える。
シンプルだがとても可愛い、遠子の趣味にぴったりだった。
「第一号って……そんな大事なもの、いいの?」
うるうると遠子の目が涙でうるむ。
「ああ。当然だろ。昨日やっとできたんだ。それで遅くなって……。出張じゃなかったら、どっかいいシチュエーションで渡すつもりだったんだけどな」
「ありがとう……すごく嬉しいっ……ありがとうね……」
嬉しくて、嬉しくて。
遠子の目からぽろぽろと涙が零れ落ちる。
ごちゃごちゃした不安から解き放たれて、安心して涙が出たのかもしれない。
「トーコ」
直倫は遠子の頬を両手でつつみこみ、ペンダントを手のひらに乗せてぎゅっと握りしめる遠子の額に唇を寄せる。
「俺、帰ってきたらお前に話したいこと、たくさんあるんだ。だからいい子で待ってろよ」
「うん……待ってる」
遠子はしっかりとうなずいた。