イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
確かに一週間、直倫と離れることにはなったが、遠子もきちんと自分の直倫への思いに向き合い、次第に落ち着きを取り戻していた。
漠然とした不安に駆られるよりも、まず自分のことをちゃんとしようと決めた。
それに旅立った直倫もなんだかんだとメールで連絡をくれたり、電話も時差を考えたうえで、かけてきてくれるのだ。
きっと遠子を心配させないようにしてくれているのだろう。
(嬉しいな……)
問題になっていた工場のことも解決に向かっているらしく、現地の職人たちと楽しそうに夕食を囲む写真も送ってくれた。
【今度は一緒に行こう】
その言葉に胸がいっぱいになる。
遠子の体調もすっかりもとに戻って、元気いっぱいアルバイトに精を出して働いていた。
「じゃあ、一時間くらいで戻ってくるから」
金木がごめんねと手をふりながら、移動販売車の中から出て行く。
「はーい、行ってらっしゃい!」
夏が本格的に迫っているせいか、さっぱりとしたマリネ系がよく売れた。
金木は料理の補充のためにいったん店に戻ったので、一時間ほど遠子ひとりで接客することになった。
と言っても、今まで何度もひとりで接客しているので、不安になることはなにもない。
せっせと働いていると、あっという間に時間が過ぎ去って行く。