イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

だが、まさか直倫も興信所を使って自分が調べられているとは思っていないに違いない。

遠子は確信した。


「調べさせたって、直倫は知ってるの?」
「っ……それは」


麻衣が押されたように口ごもる。


「知らないんだよね。だったら直倫は、麻衣さんがこんなふうに私の前に来るなんて、想像もしてないってことだよね」


知っていれば実家に帰らせようとしたに違いない。


「だったら私がそんなこと言われて、はいって言うはずないのわかるでしょう?」


もちろんあきらめる気なんてないが、遠子は思いつめた様子の麻衣を逆なでしないよう、ゆっくりと言い聞かせるように言葉を選ぶ。

だが麻衣は、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに、首を振った。


「私のほうがぜったい彼に相応しいし……! あなたもKUGAYAMAグループのお嬢さまかもしれないけど、うちはジュエリーメーカーよ! 私と結婚したほうが、彼の夢だってもっと簡単にかなえてあげられるわ!」
「麻衣さん……」


遠子は唇を噛みしめ、車から降りて彼女の前に立つ。


「……あなたは直倫をわかってないよ。彼は他人に貰って簡単に叶えた夢なんか、喜ぶ人じゃない」


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