イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「私がブスでもあなたが美人でも、あなたが私にできないこといっぱいできて、お金で直倫を支えられるとしても、私は直倫を誰にも渡したくない……渡さないっ! ずっとそばにいて、彼の力になるっ!」
その瞬間、麻衣の顔色がサッと変わった。
「なによっ……バカにしてっ……」
その目はどす黒い憎悪に満ちていた。
彼女はじっと、遠子の首元を見つめ、ハッとしたように目を見開いたかと思ったら、
「あんたみたいな女っ、大っ嫌いっ!」
そう叫ぶと、遠子に飛び掛かってきたのだった。
「きゃあっ!」
まさか麻衣のような華奢な女性が暴力に訴えてくると思わなかった遠子は、悲鳴を上げる。
「遠子ちゃんっ!?」
そして同時に。金木が麻衣の後ろから慌てたように走ってくるのが見えたが――時、すでに遅し。
あっと気が付けば、遠子はアスファルトの上に押し倒されていた。
彼女の体のどこに、こんな力があったのだろう。
「いったぁ……っ」
背中をしこたま打ち付けて一瞬、息が詰まった遠子は、口をパクパクさせる。