イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「すみません」


そしてそれまで黙ってふたりの後ろに立っていた白臣が、深々と頭を下げる。


「……シロちゃんのせいじゃないって」
「いや、直倫も松野も、一応俺の部下だから」


白臣は顔を上げて、遠子を見下ろして悲痛な顔になる。

槇兄弟はふたりとも営業政策室で働いており、麻衣もそうだった。

ちなみに政策室長が白臣なので、部下ということになるのだとか。

そして松野麻衣は学生時代からずっと直倫に一方的に憧れており、ハッキリ言ってしまえばいわゆるコネ入社でもあり、大手ジュエリーメーカーの彼女の父親は娘にかなり甘く、直倫に土下座する勢いで、娘のことを頼むと迫っていたらしい。


「松野さんのところとは、もともとバッグチャームとか作ってもらってる大手取引先で、うちも懇意にしてる百貨店にコラボ商品おろしてたりして、無下にすることもできなくてね……。いくら頼むって言われても、ナオにそんな気はないし、そのうちあきらめるんじゃないかって、なんとなく思ってたんだけど、ナオが帰国後も、全然相手にされないから余計むきになったみたいで……電話とかひどくなったっていうのは聞いてたから、向こうのご両親に申し訳ないけど辞めてもらおうかって、話そうと思ってた矢先のことなんだ……。ああ、でもこんなの言い訳だ。もっと早く俺が彼女を辞めさせるべきだったんだから。本当に申し訳ない。遠子をけがさせたのは俺も同然なんだよ」
「シロちゃん……」


遠子は深々と頭を下げる白臣をベッドの中から見上げる。

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