イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「違うよ、シロちゃん。仕事を辞めさせたって彼女はなにも変わらなかったと思うよ……それより私が言い返したりして彼女を怒らせちゃったんだよ……あんまりブスブス言われて、ムカついちゃってさ……」
「うちの天使に向かってブスなんてっ!」
和美はキーッとなりながら、ハンカチを握りしめた。
「パパ、ありがとう……」
遠子は苦笑しながら、麻衣のことを思い出す。
「私だって直倫のこと、最近までずっと誤解してたくせして、あなたは直倫のことがわかってない、あなたなんかに渡さないって言ってしまったし……結構幼馴染だってこと鼻にかけるような言い方しちゃったんだよね」
本当はもう少し穏やかに、帰ってもらうこともできたはずだ。
けれど売り言葉に買い言葉で、遠子は売られた喧嘩を買ってしまい、こんなことになってしまったのである。
「だからシロちゃん、もう謝らないで。私もいたたまれなくなっちゃうから」
「遠子……」
白臣はそれでもなにかを言いたそうにしていたが、「ありがとう」と言い、反対側の椅子に腰を下ろした。
「白臣くん、ちょっと私たち弁護士と話してくるわね。いい?」
「はい、任せてください」
とりあえず遠子が元気にしゃべるのがわかって一安心したらしい。
亜子と和美はふうっとため息をついた後、病室を出て行った。