イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
epilogue

それから翌年の春――

都内の結婚式場で、遠子は直倫と結婚式を挙げた。

この日に至るまで、麻衣のこと含め、それなりにいろいろあったが遠子はすべてを許している。

それに今日は絶好の結婚式日和で、たくさんの祝福の声が、青天の青空に響いているのだ。

いまさら過去を振り返って、嫌な気分になる必要もない。
遠子はそう思っていた。




「こっちこっちー!」


着飾った友人たちが、遠子に向かって手を振る。


「オッケー!」


ウェディング姿の遠子は、持っていたバラのブーケを、力いっぱい振りかぶって投げる。

手を離れ、青空に放物線を描いたブーケが、女子たちの輪の上にきれいに落ちていった。

きゃあっと歓声があがり、隣に立っていた直倫が、クックッと笑った。


「お前、どこの剛腕ピッチャーだよ」
「いや~我ながら、かなりのナイスコントロールだったね」


グッと親指を立てる遠子を見て、直倫が目を細める。


「すごく、きれいだな」
「――ありがとう。コンタクトにもようやく慣れた感じだよ」


去年のあの大騒動で、遠子の眼鏡は割れてしまい、それからなんとなくコンタクトも併用して使うようになった。

外出の時でも、直倫は、無理に眼鏡をかけさせようとはしない。
それどころか毎日いつでも、可愛いだの、きれいだのと言って、大いに遠子を照れさせている。


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