イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
【番外編】ラブコンプレックス
(たぶん俺は、世界一心が狭い男だな)
直倫はそんなことを考えながら、スヤスヤと腕の中で眠る遠子を見下ろしていた。
婚約時代を経て入籍し、名実ともに晴れて夫婦になったはいいが、相変わらず自分は遠子のことが好きすぎて、日々ヤキモキしている。
昨日だって、新婚旅行のお土産を渡すために実家に遠子とふたりで帰ったのだが、そこには当然白臣もいて、妻である遠子は「シロちゃん、シロちゃん」と夫である自分をほったらかして兄にまとわりついていた。
そして時折白臣が、気遣うように自分に視線を向けるのにも当然ムカついた。
正直言って、応接間のテーブルをひっくり返さなかった自分を褒めてやりたい。
今よりうんと小さかった頃は、なんとかして兄を陥れてやろうと知恵を振り絞ったものだが、結局いつもニコニコした兄にダメージを与えることは結局一度もできずじまいだった。
(トーコは俺のことを悪魔みたいに言うけど、よっぽど白臣のほうが腹黒だからな……)
とはいえ、遠子が白臣を慕っているのは、本当に優しい兄のように思っているからだとわかっている。