イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
白バラをメインにした美しいブーケは、ワイワイと盛り上がるブートスの輪に入れず、ぼんやりと突っ立っていた遠子の前に普通に落ちてきたものだ。
つい受け止めてしまったが、元同僚たちにわっと囲まれて、
「久我山ー! 次はお前の番だな!」
「がんばれよー」
なんて、無責任に囃し立てられて、遠子は苦笑いするしかない。
「はぁ……」
(うるさいっつーの! がんばれってなにをだよっ! 結婚かー? 結婚なのか?? なんで女ってだけで結婚頑張らなきゃいけないんだよっ! 私はぜーったい、結婚なんてしないんだからね!)
なんて内心毒づいていると、
「久我山!」
白いタキシード姿の高島が、ニコニコと爽やかな笑顔で近づいてきた。
「あ、高島さん……あの、今日はおめでとうございます……ノコノコ来て、すみません……」
「なんでだよ、俺は来てくれて嬉しいよ。久我山は俺の大事な部下だったからな」
そう、高島は遠子の直属の上司で、そして遠子の憧れで、ぶっちゃけてしまえば、入社してからずっと、片思いをしていた相手だった。