イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「三十センチ切ろうと思うんだけどいいかな? ノーダメージの髪は寄付できるからね」
「うん」


病気や闘病で髪を失った人のためにウィッグをつくる活動があることは当然遠子も知っている。

人のためになるなら喜んで寄付したい。

それからアシスタントに、腰まで届く髪を和少しずつ束にしてゴムで縛ってもらい、和美が鋏をいれる。

頭がどんどん軽くなるのが、不思議な感覚だった。

元がスーパーロングだったので、三十センチ切っても肩を覆うくらいの長さが余裕であった。

そして手際よく和美は遠子の髪を洗っていく。
シャンプーを終え、丁寧にすすぎ、タオルを使って髪を拭いてもらった後、スタイリングチェアに移動した。


「パーマはかけなくてもいいね」
「うん」


遠子はこっくりとうなずく。
頼めば和美がいつだってきれいに巻いてくれるので、パーマをかけるはあまり必要ない。

そうやって出来上がった髪は、ナチュラルなストレートヘアだ。所要時間は十分もかかっていないだろう。

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