イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~

「わぁ……」
「めちゃくちゃ速い……」


それまで黙っていたアシスタントたちが感動したように遠子に近づいてきて、目をきらきらと輝かせた。


(すごいな、パパって……)


父の仕事ぶりに感心しながら、遠子も鏡の中の自分を見つめる。


「パパ、きれいにしてくれてありがとう。すごく気分がさっぱりしたよ」
「どういたしまして」


和美はフフッと笑って、それから鏡を通して遠子を見つめる。


「確かに人が違って見えるね」
「うん……」


父の言うように、たった数日で、まるで自分を包んでいた薄皮一枚がはがれたような、不思議な感覚にとらわれる。


(殻をやぶるってほどではないけれど……ある意味直倫には感謝――っていやいや! それがおそらくアイツの手っ! 感謝なんかする必要ないし!)


心に湧き上がってきた感謝の気持ちを抑えるように、遠子は唇を一文字に引き結んだ。


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