イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
時計の針は夜の十時を過ぎたばかりだ。
「うん。三日連続で外出したから、眠くて眠くて……」
遠子はふわわとあくびをしながらそのままごろんとベッドの上に横になる。
《いいことじゃないか。おやすみ、遠子。なんなら俺の夢を見てくれてもいいんだよ。優しく寝かしつけてあげる》
「努力してみる」
遠子は笑って通話を終えると、天井を見上げながら大の字になった。
(シロちゃんと約束して、待ち合わせ場所まで出かけた。ずっとほったらかしだった伸び放題の髪を切った。そして男友達を作るために合コンに参加する……)
本来、誰でも普通にこなせるようなことかもしれないが、この半年の自分から比較すると、信じられないくらいの活動量である。
(よし頑張るぞ……! いや、違った! 頑張りすぎない程度に頑張るぞ……!)
『頑張りすぎるところがあるから、無理をするな』と言ってくれた高島の言葉を思い出し、遠子は目を閉じた。