イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
こいつ、俺のなんで。
合コン当日。金曜日の夕方。午前中、少しだけ降った雨で庭の緑は生き生きと輝いていた。
そして朝のニュースで来週梅雨があけると伝えていた通り、夏が近づき、少しずつ日は長くなっているようだ。
(変じゃないよね……)
遠子は靴を履いた後、玄関脇にある壁一面の鏡の前でくるっと回る。
亜子チョイスの上品なベージュのワンピースで、髪は和美に巻いてもらった。
ピンクのメタルフレームのツルを両手で支えながら、自分をチェックする。
気合は十分だ。
「白臣くんによろしくね」
「楽しんでくるのよ~」
亜子と和美が、にこやかに手を振り玄関から遠子を見送る。
結局彼らは、遠子の合コンという言葉をそれほど大げさには取らなかったようだ。
白臣の参加が、合コンをただの“お食事会”に変えてしまったらしい。
(楽しんでいいの? っていうかいまいち本気に取られてないけど……まぁ、いいわ。彼氏は無理としても、小さな目標として男友達を作ってやるぞ!)