イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「はーい、行ってきまーす」
遠子は元気よく答えて両親に手を振ると、玄関を出て家の前に停まっているタクシーに乗り込んだ。
待ち合わせの時間は七時半。場所は外資系ホテルの三十五階に入っているフレンチレストランで、友人たちが言うには、この時期は七夕に向けてイルミネーションが美しいのだという。さすが白臣セレクトとしか言いようがない。
「あっ、遠子~!」
ホテルには三十分前に到着したが、ロビーにはすでに中、高時代の友人三人が、ソファーでくつろいだ様子で遠子の到着を待っていた。
「みんなー!」
みんなそれぞれに美しくドレスアップしているが、当然学生の頃の面影があり、かわらない。一気にテンションが上がった。
「きゃーっ!」
「久しぶりっ!」
「ほんとだよー」
そして学生時代の頃のように、四人で輪になりキャッキャと手を握り合った。
「めちゃくちゃ久しぶりだよね!」
「全員揃うのは二年ぶりくらい?」
「たぶん誰かの結婚式だよ、間違いないわ」
「そうそう、結婚式~!」
社会人にもなると、途端、そう会えなくなってしまう。