イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「シロちゃん」
声を掛けると、白臣が振り返り、遠子たちの姿を発見して立ち上がった。
「遠子、きれいだね。そのワンピースとてもよく似合ってる」
白臣はにっこりと笑って、遠子のためにボーイよりも先に椅子を引く。
「挨拶よりも先に誉め言葉が出る。白臣さんらしいな」
そう言って笑ったのは、白臣の隣に座っていたグレーの三つ揃え姿の男性だった。いかにも愛されて育った雰囲気のはつらつとした雰囲気で、どこかいたずらっ子のような愛嬌がある。
「俺たちはいつだってオミの引き立て役だよ」
「確かに」
「右に同じ」
男性陣は、スーツあり、ジャケットありとまったく雰囲気が違っているが、口調からしてそれぞれ親しいのは伝わってくる。
それぞれ着席した後、軽い自己紹介のあと名刺交換になった。
正直言って、遠子以外、全員バリキャリである。
「私もう、名刺もってない……」
地味に落ち込む遠子に、
「遠子の連絡先を知りたかったら、俺を通せばいいんだよ」
と、白臣が笑う。