イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
グラスを持ち上げると、
「あ、本当? 口にあってよかったよ」
彼は嬉しそうに身を乗り出してきた。
「次のも頼んであげようか。ボトルでいい?」
「はーい。ボトルでお願いします」
のんきに答えていたら、白臣が苦笑しながら会話に入ってきた。
「遠子、大丈夫なの? かなり飲んでるみたいだけど」
「大丈夫だよ。知ってるでしょ、私そこそこ飲めるって」
「そりゃ知ってるけど……」
「大丈夫だって~」
おいしいワインなら一時間に一本は全然余裕だ。
ちなみにお食事会が始まってすでに一時間以上経っている。
食事はフルコースではなくハーフコースだが、お酒の量はかなり進んでいた。
「ちょっとお手洗いに行ってくるね」
「うん。大丈夫?」
「全然大丈夫だよ~」
隣のアンナにこっそりささやいて、テーブルを離れた。
レストランを出て、エレベーターの向こうにあるトイレに向かう。
途中、持っていたバッグの中のスマホがブルブルと震えて着信を知らせた。
「誰だろ……パパかな……」
けれど発信主の番号は電話帳に登録されていない番号だった。
「はい」