イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「まったく……」
そのままヨロヨロと個室に入り、腰を下ろした。
(まぁ、確かにちょっと酔ったかもしれないけど……大丈夫、大丈夫)
それから遠子は、ふうと息を吐いて手を洗い、リップを塗りなおす。
鏡の中の自分は、いつもの自分だ。
(ほら、なんともないし……)
レストランに戻ると、ワイングラス片手に楽しそうに談笑が続いている。
遠子も席について、話に加わった。
―――…
「俺は決めたぜ。ね、遠子ちゃん。『バッカスの会』に入らないか?」
そう言ってきたのはいつのまにか隣に座っていた喜多島だ。
「バッカスの会?」
「ああ。一応言っとくけどおしゃれな会じゃないからな。誰かの別荘とかに集まって、ただひたすらうまい酒を飲み、その土地のうまいものを食うってだけの、女子にはとことん不人気な会だから」