イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「ええー……」
「さすがに飲みすぎだよ」
「大丈夫なのに……」
「ほら、お水を飲んで」
目の前のグラスに、テーブルに置かれていたビンから水が注がれる。
遠子は唇を尖らせながら空になったグラスをテーブルの上に置いて水が入ったグラスに少しだけ口をつけた。
(まぁ、確かにたった二時間かそこらでワイン三本は早いペースかもしれないけれど……別に気分悪くないし……フワフワして、気持ちいいし……)
「白臣さん、今、遠子ちゃんをバッカスの会に誘ったんだ。いいだろ?」
太陽の言葉に、白臣は驚いたように目を見開く。
「遠子、やめたほうがいい。俺も数年前参加したけど、雪見酒をしたいって誰かが言い出したら、庭に出て汗だくでかまくらを作るような連中だよ。女の子もそういう時は見てるだけじゃなくて、強制参加させられるんだよ。それで一気に悪評が広まって、女性会員激減したんだよ」
「えっ、かまくらをみんなで作ったの? すごい、やってみたい!」
「遠子……なぜそこに食いつくんだ」
白臣は苦笑して肩をすくめる。
「いや、だってすごいじゃない、かまくらって。いいなぁ~。作ってみたいなぁ~」
想像するだけで楽しそうだ。
すると太陽が「だろ」とうなずく。