イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
誘惑だらけのお試し期間
約束した、一週間後の土曜日の朝、直倫は車で遠子をとあるマンションへと連れてきた。
周囲に緑が多く、閑静な通りにあるマンションの一室は、もともと直倫が、資産運用の一環で所持していたものらしい。
高層ではなく、駐車場が地下にある五階建てのデザイナーズマンションで、一階に一室しかない3LDKでかなり余裕のある間取りだ。
「素敵な部屋だね~」
ベランダはかなり広く、五階からの眺めも悪くない。一週間前からここに住んでいると聞いていたが、置いてある家具やテレビ、オーディオ、間接照明やカーテンなどは、センスよくまとまっていて、心地よい、落ち着く雰囲気だった。
遠子は持っていたボストンをリビングのフローリングの床に置き、大きく深呼吸して、ベランダで外の空気を息を吸い込む。
(あ、向こうにパン屋さんが見える……! 向こうには感じのいいインテリア雑貨のお店も見える。あれは移動販売のデリかな? あとで散歩がてら歩いてみようかな?)
「荷物はとりあえず玄関横のウォークインクローゼットに置いとくぞ」
「うん、ありがとう」
直倫が、海外旅行用の大きなキャリーケースをゴロゴロと押していく音がする。
それから遠子のいるベランダにやってきて隣に立つと、遠子と同じように手すりにもたれた。